ずっと温めていた話があったのですが、諸事情により書けなかったのでしばらく放置していました。ところが最近その諸事情が解消されたため、ブログに書いてしまいたいと思います。

つまりですね・・・。少し前にパパラボ一家にもう一人仲間が増えそうなことが分かったのですが、この話は妊娠初期の頃のお話だったのでした。それで少し落ち着くまで書くのは自粛してきたわけなんですが、そろそろ良かろうという感じになってきたので書きます、ということになります。

さて、さっそく本編に入ります。
これは通勤電車の中で起こった非常にビミョーな出来事についてです。

とある日の朝、私は妻と一緒に通勤電車に乗っていました。車内はそこそこ混んでいたため、妻が座り、私は目の前に立っていました。ここで周辺の配置も説明しておきます。立っている私の横には、こざっぱり爽やか系の30代半ばくらいのサラリーマンが立っていました(以後、熱血サラリーマン)。そして妻の隣には、大学生くらいかな・・と思われる私服の男子が座っていました。(以後、タヌキ男子)

場が動いたのはとある駅に停車したときでした。その駅では、あか抜けない女子大生といった感じの女性が乗ってきて私の隣に立ちました。彼女の向かいにはタヌキ男子が座っている状況です。電車はこの駅を出発したのですが、どうもこの女性の様子がおかしいのです。呼吸もなんとなく苦しそうで。立っていてもフラフラしていてつらそうです。(以後、腹痛女子)

あまりにフラフラしていて隣に立ってる私も落ち着かなくなってきて、そっと席の当たりをチラホラ見回しました。妻は私と目が合いました。普段なら譲ってたところでしょうが、いまは妊娠初期。腹がデカクなる頃よりも座ってた方がいい時期なので、そのまま心配そうに腹痛女子を見ていました。そこでタヌキ男子に視線を飛ばしてみると・・・、さすがタヌキ男子!腹痛女子を気にするそぶりを微塵も見せず音楽などを聞いています。

席は空かなそうだな・・

そうしている間にも腹痛女子は相変わらずフラフラやっとります。すると次の駅の到着のアナウンスが流れました。さすがにこれだけツラそうなら一度降りて休むよね、よかったよかった、と勝手に思い込んで安心していたのですが、駅に着いても腹痛女子は降りる様子を見せません。「降りて休みませんか」と口から出かかりましたが、チキンな私はそこまで行動することが出来ませんでした。

かくして腹痛女子のまさかの頑張りで、緊張の空間は継続することに・・・

電車が駅を出発すると、案の定腹痛女子は苦しみ始めます。かなりツラそうです。だから降りておけばよかったのに、、と思いつつも、見ていられません。よし、こうなったら誰かに席を譲ってもらうよう呼びかけるか、、、とも思ったものの、さすがに妊婦だからとはいえ自分の妻を座らせておきながら、「このツラそうな人に席譲ってあげて」と周りの人に言うのもかなり気が引けます。ちなみにこのあたりでもタヌキ男子はさすがの安定感でマイワールドから出てきません。こいつの図太さがホントに羨ましい・・・。

あー、いったいオレはどうしたら・・・、と苦しむ腹痛女子の横で私が苦悩していると場が動きました。

「あの、この方苦しそうなので席を譲ってあげてもらえませんか」

声に振り向いた私の視線の先には、使命感に満ちあふれた表情の熱血サラリーマンがいました。

キター!ついにこの周辺の誰もが待ち望んでいたことをやってのけましたね、あなたは・・。なんて勇気のある人なんだ、あなたは。それに引き換えウジウジしていたオレの小ささよ。神様、今日の通勤電車のMVPはこの人にあげてください。でもあなたの呼びかけの向け先は・・・妊娠初期の妊婦とタヌキ男子!

 

さあどうなる・・。

 

自分の妻がどう出るか、そしてこの場がどうなるのか、そしてタヌキ男子は最後までやりとおすのか・・
完全にこの状況のオーディエンスに成り下がった私は、固唾を飲んで、妻(副所長)の出方を見守りました。

 

「すみません、私妊娠してるんで」

世の中的にはかなり内緒だったフェーズなものの、妻はあっさりカミングアウト。そうだよね、してるよね。わざわざ座るために一つ遠い駅までいって、一本電車スルーして座ってるわけで、色々な主義主張はあるだろうけど、個人的にはここで譲る必要はないと思うわ。

まあここまでは予想通り。問題は次です。熱血サラリーマンの視線がタヌキ男子に向きました。

さあ、どうする? どうするよ?

 

「あ、ぼくお腹いたいんで」

 

・・・

・・・

やりきりよった・・・・。

今まで私が見てきたお腹痛いヤツの中で、もっとも平然とかつどこも悪くなさそうな顔で言い切りました。こいつはスゴい。この状況でもブレない強さがある。気まずさや、一般常識や、場の雰囲気に流されない強さを持っている!イヤミでもなんでもなくて、彼に対する非難めいた気持ちは一切なく、(そもそもそんなに悪いところないし)、純粋に私の心の中は「やるじゃん、タヌキ男子」という気持ち一色でした。

タヌキ男子のぶれないリターンエースが決まった後、周辺の客はみんなこう思ってたはずです。

「で、この状況どうすんの?」

まさかのリターンエースを2発くらった熱血サラリーマンには、さらに他の客に席を譲るよう呼びかける気力は残っておらず、

「大丈夫ですか?」

と見る限り全く大丈夫そうでない腹痛女子に尋ねるのが精一杯。そして全く大丈夫そうじゃないのにコクっとうなずく腹痛女子。

そして当たりは静まりかえりました。

そして一通りのやりとりが終わったところで、苦しそうな腹痛女子の目から涙がポロリと落ちたところで

「どうぞ」

さすがに見てられんということで妻が立って腹痛女子に席を譲ったところでゲーム終了。

****

いかがでしたでしょうか。
なかなか役者ぞろいで、見応えのある微妙なシーンだったかと思います。

最後に私と副所長(妻)の、登場人物への一言コメントで本エントリを終わりたいと思います。

■私の一言コメント

【妊婦へ】 
  かっこいい!おとこまえ!
【腹痛女子へ】
  つらいときは頑張らずにすぐに降りて休みましょう
【タヌキ男子へ】
  ぶれないところがステキです。
【熱血サラリーマンへ】
  今日は運が悪かったんです。あなたのやったことはとても素晴らしいことなので今後も似たような状況でも
  変わらず声をあげてください!

■副所長(妻)の一言コメント

【妊婦へ】 
  ま、あれはもうしゃーないよね。
【腹痛女子へ】
  ぶっちゃけ、譲った後一駅で降りるかなと思いました(その後20分乗っていた)。
【タヌキ男子へ】
  もう覚えてないよね、この日のこと・・・
【熱血サラリーマンへ】
  これにくじけずこれからも優しいあなたでいてください。本当にいい人だと思いました。気まずい思いを
  させてしまいすみませんでした。



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妊婦と腹痛女子とタヌキ男子と熱血サラリーマン