話題の日経新聞の短時間勤務の記事を読みました。興味深いテーマだったので私も思うところを書いてみたいと思います。

子育て中の短時間勤務、長期利用で職場に波紋  :日本経済新聞

序盤に、時短勤務の利用上限まで申請する社員が増えて苦慮している、という話が紹介されていますが、これには私も制度設計の甘さを感じます。法的な要請があったにせよ、本来こういった多様な働き方を認めて行く取り組みは社員のエンゲージメントを高め、時短勤務中も、時短卒業後も気持ちよく仕事に取り組んでもらうようルールもメッセージも発していくものだと思います。

それなのに「子育てはもう平気なはずなのに上限まで使うのは困る」という後出しじゃんけん的なメッセージを発してしまっているわけです。ましてや他の社員への影響が、なんてことを持ち出すのは、制度のツメの甘さを現場と時短申請者に取らせているようなもので、その矛先が時短取得者に向かうとなると、なかなかどうしてかなりのお門違い感があります。

で、その後の展開としては、日本企業によくありがちな「内規」的なものができあがるわけです。

「あれって○年以上申請すると人事からお達しくるらしいよ」
「えーー、マジで?だったら最初っから短くしておけばいいのに」
「ほんと、外面では時短勤務は○年とか言っちゃってるくせにさ、結局は取らせたくないんだよね」

みたいな感じで、多様な働き方を認めたのに社員のエンゲージメントがだだ下がり、管理職はなんか内規が増えて部下とのコミュニケーションがめんどくさい、というわけの分からん状態になってしまうわけです。人事制度はそのルールだけでなく、その運用も社員へのメッセージになるので、こういうのは、取るときは最後まで気持ちよく取ってもらえるようにしていかないともったいないな〜と思った次第です。

 

その後に、時短の長期取得者はキャリアに支障がでる、という話がありましたが、こっちはなかなか根深い問題だと思いました。

ここでは時短勤務=成長機会が少ないという図式で語られています。キャリアに支障が出るというのは、推測するに「責任ある仕事を任せる機会がない」「新しい仕事に挑戦しようとしない」といったようなことを指しているのだと思いますが、これは時間=成果という考え方が前提にある問題意識だと思います。

6時間労働の時短勤務者と8時間労働の通常勤務者という関係なら両者の溝はそこまで大きくならないはずですが、現状の会社の実態は、6時間の時短勤務者と時間無制限の通常勤務者という関係になっちゃってるから、「キャリアに支障が・・」的な話になるのでしょう。

時間無制限に働ける人が当たり前という風土の組織では、当然時短の人は半人前扱いされるでしょうし、当然時短勤務者も「勤務時間が短いこと」を理由に「責任ある仕事はできない」「新しいことに挑戦するなんてとてもとても」となるでしょう。

そうなると、今後のキャリアのために「さっさと時短ヤメレ」みたいな話になっていくわけですが、いくら子どもが大きくなったとはいえ、9、10時まで働いていたら家庭はたちゆかなくなるわけで、父親か母親のどっちかは、結局時間無制限風土の中で、時短じゃないけど時間を区切って働き、成長機会が得られず働き続けるしかなくなってしまいます。結局、それって目指す状態なんだっけ?違うよね、と思うわけですよ。

記事の最後にもありますけど、結局会社全体が時間=成果の考え方を改めないといけないことなんだと思います。つまり、時短勤務中でも「私は時間が短いから」という言い訳ができないような働き方を通常勤務者もしている状態になれば、「時短だからキャリアに支障が・・」とか「時短の人がいると他の人へしわ寄せがいく」とかならないはずなんですよね。本当に多様な働き方が認められる会社になるためには、制度取得者のマインドだけでなく、会社全体の働き方や意識、風土を変えて行かなければいけないということだと思います。

 

最後に。この手の話は上に書いたようなことを言うのは簡単なのですが、具体的に実行するとなると、気が遠くなるほど大変な仕事です。色々と書きましたが、今回の記事はそんな難しいテーマに取り組んでいる様々な会社の苦悩や、試行錯誤に思いを馳せるいい機会になりました。

世の中の人事担当者の方には、こんな外野のヤジに負けずにぜひとも頑張っていただければと思っています。

それじゃ、今日はこの辺で。



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多様な働き方を実現するために必要なこと